ロンドンデパートの裏事情。「美形店員」は雇用差別?

日本語にも翻訳され伝えられているフランスのニュースサイトAFPBBが、アバクロの「美形店員」は雇用差別として、フランス人権団体が調査を開始したとのニュースを7月26日に伝えた。

 

米カジュアルウエア・ブランド「アバクロンビー&フィッチ(Abercrombie & Fitch)」が、外見を基準に店舗の販売スタッフを採用しており雇用差別に当たる可能性があるとして、フランスの人権団体が24日、調査を開始すると発表した。

 

詳細はサイトリンクから読んでほしいが、日ごろ常から思っていたことを、フランス当局が「調査」に入るというニュースに「やっぱり」「やっと」という気持ち。

ここロンドンで感じる印象は、Gapといい、Selridge'sといい、北アメリカ資本の会社の商業主義がその経営方針に見事に反映され、その従業員に対する扱かわれ方が、まるで第3国(Third Wrold)のようだ感じるのはわたしだけだろうか?

 

Gapのスタッフは、24時間シフトで働き、とくに商品のデリバリー(梱包開封)を担当するスタッフは夜11時から勤務を開始し、朝終わる。店長になると、日中と、深夜スタッフも管理する必要があるからその生活は、ほとんど24時間体制になってしまい、ストレスもその限界を超える。

 

ロンドンのファッションをリードし、ロンドントップの座をハロッズと2分するデパート、Selfridge'sも、北アメリカの資本が入った7-8年ほど前から、開店時間が現在9.30am-9.30pmになり、セール期間中はそれが。9am-10pmになる。

 

ますます、巨大資本になり会社は成功する反面、そこで勤務する店員は、その耐えられない労働環境にどんどん入れ替わる。決して人として尊敬され、長く働ける環境でないからだ。

 

少し焦点がずれる感もあるが、アバクロの経営方針を代表とする、北アメリカの商業主義(儲け至上主義)が、人権としての雇用差別、または不適切な労働環境下での勤務を強いている可能性が十分ある。

 

同じ問題で、ここロンドンで人の採用の採否を外見で判断すると有名なデパートが、Harrodsであることは、観光客として訪れる日本ではあまり知られていない。

「Store Approval(ストア・アプローバル)」というのは、ハッロズのマネージャーが面接し、この人はHarrodsの店頭で勤務できるという「資格」がもらえないと、いくら仮に「グッチ」の従業員でもハロッズで働けない。とても厳しいその判断は、その経歴ではなく、外見の見かけで判断されていることが、勤務経験のある店長からの有力な情報がある。

 

先述のフランスでAFPBBのアバクロのニュースは、このようにも伝えている。

 

アバクロンビーのマイク・ジェフリーズ(Mike Jeffries)社長が2006年に、あるインタビューの中で「美しい人々は、美しい人々を引き寄せる」と語って同社の雇用基準を正当化したとも指摘した。このインタビューの中でジェフリーズ社長は、「われわれはクールで見目の良い人々に服を売りたい。それ以外の人々には売りたくない」と語っていた。

 

こういう問題は、日本よりも、男女平等、人種差別などに意識の強い西洋で真剣に取り扱われる傾向にある。フランスでどう判断される結果が気になるところ。