スコットランド独立選挙NOの、本当の理由

昨日19日、歴史に残る初めてのスコットランド独立キャンペーンの選挙結果で、No 55%, Yes 45% で、スコットランドは、United Kingdom(イギリス連合国)に残ることに決まった。前代未聞の85%の人が投票場に向かったらしい。

 

私が、この国に初めて来た1999年夏、2か月間をスコットランドで過ごした。英語学校をDundee(Yes の投票が55%と強かった市)で過した。そこで知り合ったスコットランド人が、「イギリス人が大嫌い」と言っていたのを今でも覚えている。

 

その前に日本で知り合ったイギリス人から、スコットランド・エジンバラに住む妹に会いに行ったパブで、イギリス人の彼にはビールを売ってくれなかったという話や、近年テレビで見る国会中継で、スコットランド人政治家が、「私のアクセントに君たちは笑っている」と真剣に怒っているのを見たり、住んでいるとだんだんわかる、スコットランド人とイギリス人は、心の底で根深い反目の関係にある。

 

今回の選挙前に、スコットランドの父親を持つ友人がFacebookに書いた、「To vote with the heart or the head?」(感情で投票するか、頭で投票するか?)は、的を得ている。

 

いろいろな政治的な理由、経済的な理由を、みな議論していたが、結局のところこの独立選挙の根底には、国民感情が理由だった。

 

きっとほとんどのスコットランド人は、心底イングランドの国会から独立したかったに違いない。スコットランドは、スコットランド人としてのプライドで自国を持ちたかった。45%の160万人もの人が Yes と投票しているそのすごい数がそれを物語る。

 

しかし、Cameron首相はじめ、イギリス政治家が必至にBritainに残ることを訴えたように、スコットランドも自国の経済のことを考えた。イギリス経済の約1割を担うスコットランドの経済を失うかもしれないイギリス、北海油田があるから大丈夫という意見も、どこまで信用したらいいかわからないスコットランドの経済力。NHS(ナショナルヘルスサービス)、独自の軍隊装備、EU、NATOの加入の問題などなど、独立したら自国で担えるかどうかわからないスコットランドが選んだのは、やはり経済の安定、現状維持。1707年の政府の統合以来の、307年の歴史は長すぎた。

 

街頭インタビューで、「始めYesだったけれど、今はNo」というのはその意味ね。

投票日2日前に、カメロン首相がスコットランドにいままで以上の独裁権を与えると宣言したから、独立しなくても有利じゃないかという考えも、スコットランド初の首相には、大した意味がなかったらしい。Alex Salmond氏が、選挙結果がわかったその日の夕方、スコットランド初の首相を今期で退任することを発表した。

 

なにも辞めなくてもと思ったけれど、彼の人生の目標が「スコットランドを独立させること」だったらしいからその失望を持って首相を続けられないということらしい。各新聞が、「スコットランドの独立の機会を作った、すぐれた初の首相」としてすでに功績をたたえている。

 

今回のこの独立キャンペーン期間中、メル・ギブソンの映画「Brave Heart」のDVDの売り上げが急増、amazonで1074位の人気度が、一気に454位に上昇したそうな。

 

スコットランドのユコーン(女王の紋章の一部)の気高いプライドは、Britainイギリス連合国(United Kingdom)に残っていても決して失われることはないのよ、Scots people.

 

ユニオンジャックの旗のデザインが変わらなくて、ほっとしているのは私だけではないだろう。