英国の風刺画家ホガースハウスへ行ってきた

 

みなさん、ロンドンには今だに1700年代の画家や建築家が住んだ家が、当時のまま残されていることを知ってますか?

あちこちに有名人の家があると思うのですが、個人的には、ロンドンではその代表的なお家が、ホルボーンにあるSir John Soane Museumだと思うのですが、ここで、初めてイギリスのHogarth(ホガース)という1700年代の画家が描いた、漫画チックな「風刺画」4連作を見ました。(ブログにされてる方の画像を発見「放蕩一代記」

 

有名な作品 GIN LANE

GIN LANE
GIN LANE

そして、その後、このホガースの家が西ロンドンあることを知り、今回、やっと念願の、彼のお家に入ることができました!

(以前行った時、閉館時間2分前で入れてくれませんでした・・)

 

そこで、無知な私は、学生の頃の教科書で見たのか、なんで見たのか、ずっと前から知っていたこの絵は、なんとホガースのエッチングだったことをこのホガースの家で見て知ったのです!

 

Gin Laneというタイトルがつくこのイラストは、かなり印象強く、その後何度も目にする機会があり、これが私が持つ「昔のイギリス」のイメージでした。

 

このHogarth Houseで、この長年知っているイラスト(エッチング)はホガースの作品であり(これ知ってるぞ!)、その作品の真意を知ることになりました。

 

ホガースが生きていたこの時代は、水が汚染していて危険で、子供から老人まで水の代わりにお酒のジンを飲んでいたんですね。

 

1750年まで、誰でも家庭でジンを作り販売できたので、なんと家々の6軒のうち1軒がジンハウスで、ロンドン中あちこちに「ジンハウス」があり、町中の人がこのジンで酔っていたんです。

だから、幼児の死亡率も高かった。母親は、子供の服を売ってお酒代を捻出するため、自分の子供を絞め殺すこともあったとか。(なんと短絡的な思考!)

 

この1750年に描かれたホガースの絵は、実際彼が目にしたコベントガーデンの様子で、コベントガーデン南のBloosbury、St, Giles。当時は貧しい貧民街で、それを象徴する絵は、母親が子供を酔って腕から滑らして落としている、手前の元兵士は、ガリガリになった状態でお酒だけ飲んでいます。左側のPawn Broker(質屋)に貧しい人が、お酒を買うために質入れをしています。

 

ホガースは、お酒のジンが人々を堕落させているため、行政官で小説家だった友人ヘンリー・フィールディングと共にキャンペーンを行い、その一環として描かれたプリントだそうです。彼の運動により、1751年「Gin Act of 1751」という法が制定され、ジンを売るにはライセンスが必要になり、それによりジンの消費率は大きく減ることになったそうです。

 

何か、社会に影響を与えるソーシャリストとして、現代のストリートアーティスト、バンクシーに共通するところがあるように思います。

 

実は、このGin Laneは、2枚セットのプリントの1枚で、もう一枚は、Beer Streetと言います。Beer Streetでは、ビールを飲む人たちは、ヘルシーで健康な人たちが裕福な生活をしているという様子です。(写真撮り忘れました)

 

Hogarthが住んだ頃

彼の家がある通りは、Hogarth Laneという通りですが、昔は「Lane」という名にふさわしい上の写真のような小さなのどかな通りだったんですね。右の絵では、草むらの平原が広がっています。

 

この当時のイラストからはとても想像し難い、今は4車線の環状線を車が激しく走っている道路を横に、18世紀から変わらないこのホガースの家のゲートがあります。(トップの写真)

 

中で展示保存されているものは、全てモノクロのエッチング(Engravings)から印刷されたプリントで、おそらく高価な油絵は、全て美術商に購入されたのか、地元の区が管理運営するこのミュージアムでは、カラーのものは見れません。

 

しかし、ホガースがいかに現在の新聞、漫画の風刺画の先駆者だったのか、当時の時代背景を物語る、皮肉が効いた面白いプリントを見ることができます。

 

王室指定の画家

お家のダイニングルームだったところに、A1サイズの手書きの巨大ポスターがあります。

 

これは、1757年、キングのお抱え画家として任命された時の証書です。ジョージ4世からのその任命書です。

 

セロテープ?で貼られたその保管状態がやや気になりますが、これが、ホガースを一躍、名声と成功に導いた証明書でもあります。

ホガースの横顔、仕事風景。
ホガースの横顔、仕事風景。

 

私が行った時は、残念ながら2階の住居部分が修復中で、入場不可でした。(ネズミが出た?)

数ヶ月で2017年の年内には、オープン予定だと管理人の女性が教えてくれました。

 

質問するとこの女性の知識は豊富で面白いです。色々聞いて見るのもいいかも。

 

Hogarth Houseは、ホーンスローというロンドンの区が管理運営しています。詳細はこちらから

近くの駅は、Turnham Green駅です。

 

お家の近くには休憩するカフェはないので、駅前に戻るか、徒歩10分のところにChiwick House & Gardenにカフェがあります。

ターナムグリーン駅前に立つ、ホガースの銅像
ターナムグリーン駅前に立つ、ホガースの銅像

Admission: Free

Hogarth Lane, Great West Road, London. W4 2QN.

Tel: 020 8994 6757

 

 

12 noon - 5pm, Tuesday to Sunday. Closed Mondays except Bank Holiday Mondays. Closed Christmas Eve, Christmas Day, Boxing Day, New Year's Day, Good Friday and Easter Sunday.