通訳同行の例1)マクラーレン会社見学、秘密の内部ルポ

 イギリスのスポーツカー、McLarenという車のブランドをご存じだろうか。車には明るくない私は、F1の車というだけ知っていた。

 

「会社見学のために、家族でロンドンに来ますので、会社と市内観光をお願いします。」すべての会話は、彼の秘書といわれる男性とやりとり。

私は、ご主人Aさんと同行し、試乗会と会社見学マクラーレン社へ同行させていただくことに。

 

さて、McLarenのことを調べてみるとF1車でなく、ロード車も作っていること、また年間に375台しか販売しない新しいP1(ポジション1)という車が、発売されたばかりらしく、Aさんはこれのお買い上げが決まっているというなんてラッキーな方。

イギリスの人気番組「Top Gear」という3人の中年男性(といっても格好いい)が、結構ハチャメチャをして、車の限界を試す番組がある。(先日は、どこかの国で家を誤って壊していた)

 

このトップギアが撮影に使用している元飛行場であるDunsfold(ダンスフォールド)というサーキット場があるけれど、そこで、この新車P1を購入前に試乗することになっている今回のAさんのイギリス旅行。

 

地図を調べると、車のビジネスをしている友人(Raceline Ltd)のオフィスのすぐお隣。このMaclaren社訪問のことを尋ねてみた。

 

「ぜひ行くべきだよ。驚くようなオフィスが広がっているよ。」友人が勤務していたので自分も行ったことがある、という彼。

今もマクラーレンに勤務する別の知り合いも、ロード車部門ではないということで、紹介してくれる知り合いはいないらしい、残念。

 

さて、Aさんのご宿泊のClaridge’s(クラリッジズ)からMcLaren手配のショーファー(運転手付きのお迎え車)で、いざマクラーレンへ。車で行くこと約1時間半、ロンドン南、サリー州ウォーキングという町にこの本社テクノロジーセンターがある。ノーマンフォスターがデザインしたという、会社の形だけ見ても近未来的なこの工場兼の会社は、通りから車で5分ほど入ると曲線状の巨大な姿を現した。

 

大きな湖(に見えた)の横を滑るように走る私たちの車から、この全面ガラス張りのオフィスでたくさんの人たちがお茶している姿が湖を介して見える。えっ、朝11時からもうお茶?と不思議に思いながら、社内では撮影を禁止されているため、この部分のみ数枚写真に収める。

圧巻。

出迎えてくれたクレアさんが、VIPルームに案内してくれる。玄関に入ると社内は、ほぼ10mの高さの天井、壁はすべてがガラス張り、鏡のように光る大理石の床にはチリ一つ落ちていない、ラグジュアリーな「工場」には感嘆の言葉しか出ない。

 

車の整備、製作がされている光景が、大きなガラス張りの壁越しにすべてが観覧できる仕組みになっている。Aさん家族とともに感嘆しながら導かれる中2階へつながるそのパスは、オフィスの空中を走り、いま通ってきたところが見下ろせる仕組み。ロンドンにオフィスを構えるNoan Fosterのデザインは、近未来的なことで有名。

 

社内見学ツアー担当のクレアさんの説明によると、この大きな社内は、F1部門、ロード車部門、そしてオフィスとの3部門に分かれていて、地上1階地下2階の広大なオフィスには、2000人以上の人たちが勤務している、そして、この湖にみえた水はよく見ると、単なる薄い水張りで、この下にはオフィスが広がっていることが容易に想像できる。

 

1967年ニュージーランド人ブルース・マクラーレンの創業の時から数々の歴史を飾った、歴代のレースカーが一列に展示され、それぞれの逸話をクレアさんが説明してくれる。ガラス越しに作業している男性たちは、マクラーレン創業の時代の頃1970年代の著名なレースに関わったという「歴史ある」方たちだそう。お話しを聞きながら手を振ると、手を振りかえしてくれる。

 

その横には、F1レースでの、「数十秒間の間に車の部品交換を完了する練習をするため」という大きな装置もある。あの素早いタイヤ交換は、やはり練習の賜物だったのね。

 

ベルトコンベアーがない車の製造工場は、すべてが手作業で作られることを意味すると、クレアさん。カラフルなボディのサンプルが数多く飾られている、ここで注文をした人にそのカラー選択をしてもらう工程らしい。このきらきら光るラメ入りのグリーンはだれが購入するか? やはりアラブ人かしら。

 

次の「スペシャルオペレーション」の建物では、ローワン・アトキンソン(Mr Bean、知ってる?)、ラルフローレン、日本の品川ナンバーの車などが保管されていて、この特別仕様車たちは、ここで預かられてメンテナンスし保管、必要なときに世界へ届けるサービスというサービスを提供しているろころだそう。そのラグジュアリーさが(きっと高いサービス料も)想像できる。

 

Aさんへご購入のお値段をこっそり聞くと、私は見たこともない量のお札の数!

 

秘書の方と打ち合わせをしているときは、一体どんな方がご来英かとの不安は、お会いするとどこ吹く風。笑顔が素敵な優しいご夫婦で、お金をたくさん所有していることと、謙遜することを忘れないことは同時に存在することを経験した今回のお仕事でした。

 

いやー、ラグジュアリーなマクラーレン社潜入、貴重な経験でした。